2019年08月28日 スタッフブログ 松本 開発
消費税額計算の端数処理は、切捨てた方が有利だという話を時々耳にしますが、本当にそうなのかはよく確認された方が良いと思います。
企業が納める消費税額は、支払った消費税額と受取った消費税額の差額ですが、受取った消費税額は原則「税込総額からの割戻し計算方式」であり「積上げ方式」ではありません(※)。
【税込総額からの割戻し計算方式】
全ての取引の税込み合計金額から消費税額を計算する方式です。
例)消費税額80円の請求書が1000枚で税込総額が108万円の場合
税込1,080,000円 × 8 ÷ 108 = 消費税80,000円
【積上げ方式】
請求書等に表示された消費税額を合計する方式です。
例)消費税額80円の請求書が1000枚で税込総額が108万円の場合
消費税80円×1,000枚=消費税合計80,000円
以下は極端な例ですが、以下の請求書を5000枚発行した場合、
課税対象額 186円
消費税額14.88円→(切捨て)→14円
税込金額200円
「税込総額からの割戻し計算方式」の場合の消費税は、
税込200円 × 5,000枚 = 税込1,000,000円 × 8 ÷ 108 = 消費税74,074円 ≒ 74,000円です。
「積上げ方式」の場合は、
消費税14円 × 5,000枚 = 消費税70,000円です。
約4,000円の差があります。
この場合、実際に預かった消費税の総額は、70,000円なのに対して、消費税の納税額を決める計算では74,000円で計算する事になります。
つまり、消費税額の端数計算を切り捨てにした事により、納める消費税額が4,000円高くなるという事です。
この様に、必ずしも切捨てた方が有利とは限りません。
(※)
詳しくは以下のWebページをご確認ください。
消費税における「総額表示方式」の概要とその特例の「Q6一領収単位(レシート)ごとの端数処理の特例(旧消費税法施行規則第22条第1項)は、どうなっていますか?」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/sougakuhyoji_gaiyou.htm
No.6383 課税標準額に対する消費税額の計算の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6383.htm