2022年09月30日 スタッフブログ 平川 開発
ちょうど1年後からインボイス制度が始まります。
対応に向けてお客さまから「PCできる蔵ではどんな変更が必要か?」
というようなお問合せが増えてきています。
国税庁のガイドラインによりますと、現行の請求書に以下内容の追加記載が必要とのことです。
・インボイス発行事業者の登録番号
・軽減税率の対象品目である旨
・税率及び税率ごとの税抜合計または税込合計
・消費税額(端数処理は一インボイス当たり、税率ごとに1回ずつ)
【引用】インボイス制度の概要
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf
多くのお客様のシステムでは必要項目の追記だけで対応が済むのですが、
中には、現行仕様のままでは「税率ごとに1回ずつの端数処理」ルールに対応できない
というケースも出てきますので注意が必要です。
例えばある得意先に複数のプロジェクトについて請求する場合、
従来は以下のような消費税計算を行っていたとします。
税抜金額 | 消費税額 | 請求金額 | |
プロジェクト① | 204,768 | 20,477 | 225,245 |
プロジェクト② | 298,427 | 29,843 | 328,270 |
プロジェクト③ | 467,425 | 46,743 | 514,168 |
合計 | 970,620 | 97,063 | 1,067,683 |
インボイス制度に則った消費税計算ルールを適用すると以下のようになります。
税抜金額 | 消費税額 | 請求金額 | |
プロジェクト① | 204,768 | ||
プロジェクト② | 298,427 | ||
プロジェクト③ | 467,425 | ||
合計 | 970,620 | 97,062 | 1,067,682 |
※税抜合計970,620に対する消費税は97,062となり、従来の計算と差額が発生する
消費税計算処理と請求書表示ルールの変更だけで良いならこれで対応は完了ですが、
以下のようなプロジェクトごとに入金の有無を管理するようなシステムの場合、
計算方法の変更により発生する消費税の差額の扱いについて考慮しなければなりません。
従来
税抜金額 | 消費税額 | 請求金額 | 入金金額 | |
プロジェクト① | 204,768 | 20,477 | 225,245 | 225,245 |
プロジェクト② | 298,427 | 29,843 | 328,270 | 328,270 |
プロジェクト③ | 467,425 | 46,743 | 514,168 | 514,168 |
合計 | 970,620 | 97,063 | 1,067,683 | 1,067,683 |
変更後
税抜金額 | 消費税額 | 請求金額 | 入金金額 | |
プロジェクト① | 204,768 | (20,477) | (225,245) | 225,245 |
プロジェクト② | 298,427 | (29,843) | (328,270) | 328,270 |
プロジェクト③ | 467,425 | (46,743) | (514,168) | 514,168 |
合計 | 970,620 | 97,062 | 1,067,682 | 1,067,683 |
※プロジェクトごとに計算した仮消費税込みの金額を消込対象とするが、実請求額と差額が発生する
このお客様の場合、プロジェクトごとの入金処理は従来通り行い、
差額を登録する機能を用意することで、請求残高計算に矛盾が
発生しないように対応する予定です。
この例のように、お客様特有のルールがある場合は個別に対応が必要になります。
対応には時間がかかりますのでお早めにご検討いただくことをお勧めいたします。